イベント会場がある目黒に到着し、
喫茶店でモーニングの甘いココアを一杯。
ひとときの幸せだ。
今日は忙しくなる。
私が「決意のココア」をすすっていると、
ふと横の席に座っていた老婆に話かけられた。
以前、ニューヨークに住んでいたと語る優しい面持ちの老婆は
「フィリップス」のぬいぐるみの思い出を私に聞かせてくれた。
どうやら「フィリップス」の姿と
私の姿と重なって見えたらしい。
老婆の思い出は、ココアよりも私の心を温めてくれた。
きっと今日は良い日にもなる。
そう感じさせた。
喫茶店を出て会場に向かう。
長い坂を下る途中、正面に富士山が見えた。
富士山は、私を勇気づけるかのように
誇らしげに、悠然と構えている。
そうだ。私が堂々としなければ。
本来ならば、私はこのイベントの「主役」ではない。
本来「主役」を務めるはずのゲストボーカリストのLilithが
風邪をこじらせ、舞台に立てなくなってしまったのだ。
Lilithの歌声に期待を寄せていた方々には本当に申し訳なく思っている。
だが、私を含めてこのイベントに関わるもの、
期待を寄せていた方々も含めた全員の願いはひとつだ。
身体を一番大事にせよ。
悔しい思いは痛いほどわかるが、
チャンスは一度ではないのだ。
次のチャンスで100%、いや、200%のLilithを魅せれば
それでいい。
今日はその分、私が堂々と振る舞い、イベントを完遂させる。
そう心に決めたのだ。
イベント自体は中止という体裁になったが、
会場はオープンな状態にし、
自由に遊びに来て良い「オフ会」となった。
「そそそオゥフ」あらため「そそそオゥフオゥフ」。
私自身が楽しまずにどうする。
会場となるスペースは一度、そそそやウミネコに連れられて見に来たことがあった。
「カラオケラウンジ」と名乗ってはいるが、
ライブハウスとバーの良いところを取ったような素晴らしい場所だ。
この場所に、今日はさまざま人が訪れる。
店長と軽く挨拶をかわし、使うか、使わないかも未定の楽器のチェックをする。
台本も何もない、自由な場。
何でもできるようにしておかなければ。
しまった。
電子ピアノは「鍵盤タッチ」だ。
ピアノと同じ重さの「鍵盤タッチ」は弾き慣れていない。
私は「キーボードタッチ」派なのだ。
増える不安材料。
そのような準備しているうちに人が集まり始めた。
もうひとりのメイン。
私の分身体とも言えるそそそや、私の生みの親であるウミネコ……
ほかにも久しぶりに見る顔、初めて見る顔、
結果的にさまざまな面子が揃う会となった。
そそそは場を仕切る立場を取っている。
ならば、私は挨拶を。
挨拶の基本はやはりハグであろう。
私はさまざまな人々とハグを交わした。
「そそねこちゃんやわらか~い」
「そそねこちゃん気持ちいい~」
「そそねこちゃん肉球ぷにぷにさせて~」
私はどうやら女性にモテる性分らしい。
モテるネコはつらい。
だが、私に想いを馳せるものたちに、等分の愛を私も与えよう。
すまないが、今はそれで許してほしい。
1人の愛には応えられないのだ。
すると、そそそが私を乱雑に連れ、抱え、壇上に上げた。
おい、そそそ。
雑な扱いはやめろ。
そそそは私を抱えながら、しゃべり倒す。
そして私を放り出し、
歌い出す。
おい、そそそ。
オマエの高校時代のバンドの持ち歌や「GET WILD」なんかに
誰も興味はないぞ。
それよりも私のドラムテクニックをお見せしよう。
ネコ的な姿をしているが、こう見えてなかなか器用なのだ。
ほら、そそそ。
現実を受け止めろ。
オマエなんかより、たくさんのカメラが私に向けられているぞ。
およそ4時間に渡るオフ会、「そそそオゥフオゥフ」は無事に終了した。
何より、足を運んでくれた人が皆笑顔になってくれたことで、
私も、おそらくそそそも、安堵した。
来てくれてありがとう。
そそそとLilithは2017年に向けて新たな一歩を踏み出すらしい。
まずLilithは、キャラクターデザインが一新される。
ホワイトタイガーをモチーフにした、スポーティな女性だ。
いや、少し待ってほしい。
オマエは誰だ。
「りりとら」というのか。
まあいい。
いずれまた会うことになるだろう。
そして、桜実さんの個人サークル・猫屋敷スタヂオが手掛ける
和風ファンタジーな世界で繰り広げられる新作「竜神鏡戦記」。
この作品の音楽にも、「Wnderers ― はつゆき」に続いて携わっていくことになるそうだ。
詳しくは猫屋敷スタヂオのウェブサイトや桜実さんのTwitterなどをチェックしてほしい。
さらに、Lilithのキャラクターデザインが新しくなったことを記念して、
「Next Stage」の映像がリニューアルされた。
これも見ておくべきだろう。
このミュージックビデオは間もなく全公開となるが、
このレポートの読者には先行公開となる。
さて、話は戻り。
イベントの終了間際。
そそそやウミネコのネットゲーム仲間の女性が駆けつけてくれたので、
一部のメンバーで二次会的に軽く食事を取ることになった。
その場での出来事なのだが……
どうやら私は女性を惹きつけてしまう性分らしい。
来年も、私ともども、私の分身体であるそそそ、
生みの親であるウミネコ、ディーバであるLilithたちをよろしく頼む。
無論、私も彼らの活動を見守り、支え、全力で支援していく。
イベントに集まってくれた人たち、
イベントに興味を持ってくれた人たち、
私の拙いレポートを最後まで読んでくれた人たち。
すべての人たちに感謝を。
そして良いお年を。
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そそねこによる「そそそオゥフオゥフ」レポート
2016.12.31



