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m.o.v.eが解散すると聞いて

2012.12.08



デビュー曲「ROCK IT DOWN」を「ASAYAN」のエンディングで聴いたのは中学3年生のとき。
1997年。



当時、音楽を作ることになんてほとんど興味もなかったし、
そもそも音楽への興味もイマイチなかったような気がする。
それでも、この楽曲がどれほど自分に影響を与えたかと言えば、
初めてアルバムではないシングルCDを、新品で買いに走ってしまうほど。
当時彼らがマイナーでレンタルの数が少なかったことも理由だけど、
なんだかんだレンタルじゃなく、単純に欲しかっただけ。

音源のクリエイターや参加ミュージシャンで、
いろいろな音楽を数珠つなぎして楽しむ
今の自分の音楽のリスニングスタイルを作ったのもm.o.v.eから。
m.o.v.eを知っていて、Favorite Buleを知っていて、
それらが両者ともt-kimuraという
同一のプロデューサーの手掛けるユニットだと知って衝撃だった。
Favorite Blueの聴き方が変わり、
m.o.v.eと近いアプローチの曲、全く違うアプローチの曲、
そういうのを聞き比べたりするようになった。
「クレヨンしんちゃん」のエンディングテーマ「パリジョナ大作戦」が
t-kimuraの作品だと知ったときはぶったまげた。
それ以上に「とべとべおねいさん」の作詞・作曲・編曲が
m.o.v.eの作詞やラップを担当するmotsuによるものだと知ったときは
腹筋がねじきれた。

「ハイパーテクノ」や「ハードコアテクノ」といった類のジャンルが好きになれたのも
紛れもなくm.o.v.eの影響。



「Blazin’ Beat」の冒頭でラップに歌われる「RAVEMAN」こそ、
t-kimuraとmotsuが参加した過去のユニットであり、
ジュリアナ東京のヒットチューン「PUMPIN’」を手掛けた張本人。



m.o.v.eでも「ハイパーテクノ」を取り入れた楽曲やアルバムが多数存在する。
最大のヒットチューン「Gamble Rumble」の次にリリースされた「SUPER SONIC DANCE」の
オケヒをたっぷり使ったイントロや全体のアレンジは
紛れもなく現世に蘇ったRAVEMANだった。



紛れもなくm.o.v.eのファンだったけれど、本人たちのファンではなく、
彼らが生み出す、評価されるべき往年のダンスミュージックと、
現代のJ-POPの融合がなされた「そういう音楽」のファンだった。

だからこそ、この頃以降の彼らの活動から意図が伝わりにくものが多く、
自分が求めていた「そういう音楽」と離れたところで
迷走を続けていたように思う。

ラテンの要素を取り入れたサウンドを取り入れた頃の曲、
「アソボット戦記五九」のエンディングテーマ「BURNING DANCE」はPVも作られず、
そのシングルCD自体もアニメソング企画盤という扱いを受け、
「Gamble Rumble」が再収録された変則的な内容だった。



その後、2003年頃に突然ロック路線に舵を切り、
ロックテイスト満載のアルバム「DECADANCE」から
1週間先行して発売されたシングル「Painless PAIN」をはじめ、
ロックサウンドを追求した作品が続くことになる。



ここまで全CD、全アルバム、全映像を購入してきたけど、
ちょうどこの「DECADANCE」で、CDを買うのを辞めてしまった。
だからオレがm.o.v.eを語れるのはここまで。

ちょうどこのぐらいから音楽の仕事が始まった、というのもある。
けれど、ファン目線で「迷走」と感じてしまったのが
一番の理由なんだと思う。



それでも、自分とm.o.v.eは何かと交錯する。

t-kimuraは90年代をトップスピードで駆け抜けた生粋の音楽ギョーカイジンだが、
その考え方は柔軟で、いろいろなものとのコラボレーションや、
新しい現象の吸収を積極的に行う。
(前述の「クレヨンしんちゃん」もそのひとつなのかもしれない)
m.o.v.eのパブリシティ権について、
悪意などがない限り、
写真などをネット上で自由に使ってもらって構わないという旨の発言を
自らウェブサイトで行ってファンを喜ばせたのは、
初音ミクの2次創作はおろか、ニコニコ動画やYouTubeが出てくる前だったと思う。


冷めたものも多かった音楽業界のVOCALOIDに対するリアクション。
最も早く積極的に、肯定的に評価したギョーカイジンは
t-kimuraであったのではないかと思う。

自分のVOCALOIDオリジナル曲デビュー作である
「あなたがいるから-Monitor of Love-」も収録された以下のムック本には
t-kimuraの音楽なども収録されている。


更には、motsu自身が名義を伏せてニコニコ動画上でボカロPとして活動するなどした末に、
ついにはボーカルyuri自身をVOCALOID化し、2010年に「Lily」を発売した。
「anim.o.v.e」というアニメソングカバーを中心としたシリーズアルバムも発売した。

そのところどころに、
自分が好きだった初期のm.o.v.eを思い出させるかのような楽曲のリリースもあった。


ファンからは迷走に見えた彼らのサウンドアプローチは、
今思えば常に葛藤と実験の連続だったように思う。

その場から「移動」できなかったファンは、置いていかれて当たり前で、
自分はきっとそのひとりだったのだろう。


そして、来年解散へ。





間違いなく自分はm.o.v.eファンだったけれど、未だに「Lily」を使う勇気がない。
自分がVOCALOIDで作る音楽は「自分のサウンド」でありたい。
「Lily」を使えば、自分の一番好きな時代のm.o.v.eを再現して、
自分のサウンドではなくなってしまうように思えるからだ。

自分の「オリジナル」というのは、
さまざまな、あらゆる要素を自分の中に取り入れて、
それを消化(昇華)して自分なりに吐き出した結果の作品なんだと思っている。
ゼロから作れる人間なんていない。

だからこそ、自分の中で色濃いm.o.v.eの血が、
こんな記事を衝動で書かせたのだと思う。


15年間おつかれさまでした。

いろんなサウンドを教えてくれて、
J-POPとは何かを考えさせてくれて、
ひとつのものを継続する難しさを教えてくれて、
ギョーカイが大変だということを教えてくれて、
我が道を行くことの大切さを教えてくれて、
本当に本当にありがとうございました。


GROW feat. 初音ミク REBOOT feat. 初音ミク World Breakout feat. 巡音ルカ NEXT (Ver.i) feat. 初音ミク

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