«
»

ゲームと音楽に見る「違法コピー」 ― 法改正の前にやるべきこと

2012.04.17


先日、音楽や映像の「違法ダウンロードに罰則を設ける法案」を成立させようという流れが
民主、自民、公明の3党で大筋合意というニュースがネットを駆け巡りました。

違法ダウンロードに罰則 民自公、著作権保護を強化
 民主、自民、公明の3党は13日、違法にインターネットに配信されていると知っているのに音楽や映像などをダウンロードした場合に罰則を科す方針で大筋合意した。著作権保護の強化が狙い。政府が3月に国会に提出した著作権法改正案には盛り込んでいなかったが、3党で罰則を明記した同法案の修正案を近く議員立法で提出する。今国会で成立する見通し。
日本経済新聞より引用


この話題の流れから、以前お世話になった朝日新聞報道局デジタル編集部記者、
VOCALOID界隈では朝Pの名で知られている丹治吉順氏が、こんなことをTwitterでつぶやかれていまして。


「音楽」と「ゲーム」。

両方の世界に少しだけ足を突っ込んでいる自分としては、
朝Pの疑問を払拭する「答え」、、、と言いたいけれども、そこまで頭が切れるとは思えないので
せめて「ヒント」だけでも導き出そうと、自分なりにTwitterつぶやきまくってみたのですが、、、


思っていたよりも考えが広がったせいでついダラダラとつぶやいてしまい、
ブログにまとめた方がわかりやすいのではないかと思って、久々に記事にしてみます。

あと、考えの参考にしている知識がほとんどWikipediaなので、
信憑性は自己判断でよろしくお願いします。

 ■まず「マジコン」って何よ?
 ■「マジコン」を与える「親」、罪悪感なく育っていく「子」
 ■音楽の違法ダウンロードは敷居が低い
 ■再生機が「専用」か「汎用」か
 ■音楽再生機の一元管理は不可能か
 ■ジャブが効いてる効いてる
 ■違法の全てを「悪」と斬るのが正しいか
 ■音楽の違法コピー利用を防ぐには


■まず「マジコン」って何よ?
ものすごーく簡単に言うと、コピーのゲームソフトを簡単に動かせるようにしてしまう機器を指します。

Wikipedia – マジコン

インターネットが身近になった今、ソフトから吸い出されたゲームはネット上で違法に共有され、
「マジコン」はそれらを非常に簡単に使用できるようにしてしまうというワケです。
ついでに、予備知識として「割れ」も知ってもらうとイイかも。

Wikipedia – Warez

つまり、「割れ」によって入手したソフトを簡単に起動できてしまう「マジコン」という構図なワケですが、
一時は一般的なゲームショップや書店などで手軽に販売されてしまうほど
世間に「当たり前」なものとして広まってしまっていました。
そんな流れの中、2009年10月、任天堂やスクエニ、カプコン、セガなどなどなど、54社が共同でマジコン業者を提訴。

INSIDE – 任天堂とソフトメーカー54社、マジコン輸入業者に法的措置・・・一般ユーザーからの情報提供窓口も設置

「マジコン」は少しずつ世間から遠ざかっていき、現在に至ります。


■「マジコン」を与える「親」、罪悪感なく育っていく「子」
本来アンダーグラウンドなものである「マジコン」が世間的に問題視されたのは、
「マジコンを子供に買い与える親の存在」が話題となり始めた頃。

親が子供に「マジコン」を買い与え、「マジコン」で遊ぶソフトは親が違法にダウンロードで入手。
家計に与えるダメージは本体と「マジコン」だけで済むという構図。
子供は友達同士で「マジコン」を自慢し合う状況。
「オマエ、○○持ってないのかよーダセェー」的な。
子供は親にマジコンをねだり・・・という負のスパイラルが一部で生まれていたようです。

しかし、そんな異常な状況がネット上でさまざまなニュースとして話題となり、
非常識な親、そんな環境で育つ子、という認識がなされ、
「マジコン」は「悪」という常識が確立していき、
世間からマジコンが排除されていった印象を持っています。

ただ、自分のググり方が雑で、
このニュースにイマイチはっきりしたソースが見つかりませんでした。
しかし、そこらへんで普通に「マジコン」が買える状況を思い返し、
そこらへんにいる小学生が普通に「マジコン」を使っていた数年前を思い出すと、
そういう現実が本当にあったことは想像するに難しくありません。


■音楽の違法ダウンロードは敷居が低い
「マジコン」の類を十分に使用するには、パソコンをそれなりに使いこなせる程度の知識が必要です。
「マジコン」の入手はもちろん、違法な目的でコピーされたソフトを入手するためには、
海外のダウンロードサイトを読解したり、P2Pサービスを上手に使用しなければなりません。

Wikipedia - Winny
Wikipedia - BitTorrent

それに比べて、音楽の違法ダウンロードはあまりに簡単です。
YouTubeやニコニコ動画から、音声ファイルだけを抜き出すのなら、
ウェブサービスの利用とURLのコピーだけで済んでしまいます。


■再生機が「専用」か「汎用」か
「ゲーム」と「音楽」。

「ソフト」と「ハード」における関係での一番の違いは、
ハードが「専用」であるか否か。

例えばニンテンドーDSソフトは、ニンテンドーDSシリーズのハードでしかプレイすることはできません。
近年のゲームハードは、ハード内のソフトウェアをアップデートする仕組みを搭載していることが多く、
アップデートしなければ遊べないソフトや、警告を表示する仕組みも存在します。
ハードのメーカーが、「ハード」という出口で、一元で「マジコン」や違法コンテンツを起動不能にする
セキュリティ対策を施すことができるということです。
これはもちろん、違法コンテンツを推進する悪意ある技術者との「イタチごっこ」なワケですが、
セキュリティを突破する「手間」や「労力」をかけさせることは、大変重要であると考えます。

対する音楽ソフト、一般にはCDを連想しますが、CDは非常に多彩な機器で再生、コピーすることができ、
コピーしたコンテンツも多彩な機器で再生することができます。
「ハード」という出口が一元管理されておらず、ハードは常に汎用性を求められています。

この違いから、違法コンテンツの再生のし易さに、大きな差が生まれてくるのは当然とも言えます。


■音楽再生機の一元管理は不可能か
日本において、この考え方における試みで思いつくものは2つ。

ひとつはCCCD。
デジタルコピーを制限する仕組みを搭載したCDソフト、
正確には「CDとは似て非なるメディア」を一般的に普及させる試みが行われました。

Wikipedia – CCCD

再生する機器やコピーする方法が制限された意味で
(実際に効果がどれほどあったのかは不明)
再生ハードを一元化、少なくともレーベルが認めたハードのみで再生できるようにしたいという
意志を感じます。

もうひとつは着うた・着うたフル。

Wikipedia – 着うたフル

これについては、成功例とも言えます。
ネットを経由しケータイで手軽に音楽を購入して聴く行為は、
日本においては着うた・着うたフルが牽引していると思います。
ただし「ガラパゴスケータイ」とも言われるように、仕様も独自過ぎて、
自分自身で使用するにも、複数の機器間で再生できなかったり、
CDからの取り込みで着うたフル化できなかったり、
決してユーザーフレンドリーなサービスとは言えない現状もあります。

これらの試みに対して、心から賛同したユーザーは多くはありません。
特に前者は、音楽を作り出す側からの反発も大きく、現在ではほとんど姿を見せなくなりました。

そして現在、もっとも一元管理に近い存在は、
iPod・iPhoneと、iTunes Storeの関係でしょうか。
CDからの取り込みを可能としている汎用性、
広く出回っている同一シリーズの再生機器、広く認知されているサービス。
しかし、コピー回数の制限などはまだまだ多く存在し、
参加していないレーベルからは一切コンテンツが発売されないなど、
クリアすべき課題も多く残っています。
また、日本国内で言えば、着うた・着うたフルよりも
認知度が低い現状もあるようです。


■ジャブが効いてる効いてる
「音楽と映像の違法ダウンロードは法規制する」という結論に
突然達してしまった不可解な理由はあまり考えたくないので省略します。。。
が、少なくともユーザーを味方につけている流れであるとは到底思えません。

ゲームの違法コピーには、法規制という「KO狙いのストレート」を打つ前に、
さまざまな「ジャブ」が模索されています。

中でも有名なのはニンテンドーDSの『ドラゴンクエストV 天空の花嫁』。
物語の冒頭、主人公は航行中の船の中で目を覚まし、
船員全員に話しかけると、港につき、
いよいよドラクエらしい冒険が始まるというドキドキワクワク流れなのですが、
違法コピーのソフトの場合は、永遠に港に着かない仕様になっているようです。。w

発売直後、2ちゃんねるなどでは、
「船が港に着きません。どうすれば良いのですか?」といった書き込みが殺到し、
多くの人間に「プギャー」されたのは言うまでもありません。

このように、違法コピーをユーモアのある方法で防ぐことは
正規ユーザーを味方につけ、違法コンテンツ排除へと流れを作り出します。
「ジャブ」が「効いてる効いてる」と続いた結果が
今現在のゲームの違法コンテンツへの認識であると思うので、
世論を味方につけることがいかに重要であるかわかります。


■違法の全てを「悪」と斬るのが正しいか
そもそも、ラジオなどを通してチェックしたり、
それをカセットテープに録音したり、
時代にあった技術で、無料でコピーする行為は当たり前にできました。

つまり無料で手に入れたコンテンツをきっかけに、
正規コンテンツを購入するきっかけになっている人間も多いということです。

今の時代の場合、インターネットという手軽さ・危うさと、
劣化しないというポイントが問題であるという考え方も成り立ちます。
しかし、過去のエアチェックなどの行為が
ただ置き換わっているだけのようにも感じます。

それを単純に「悪」として斬ってしまったら、
今、ヒットしているコンテンツがヒットしていなかったかもしれません。

Perfumeはよくそう言われますネ。
高い音楽性と独特なダンスやPVが動画サイトで人気を呼びました。
また「映像」コンテンツではありますが、
「ゲームセンターCX」も違法コンテンツから口コミで広がり、
現在の人気を確立しています。
近年では「初音ミク」のライブ映像が違法アップロードで公開されていたことがきっかけで、
バーチャルアイドルのライブの技術力が世界中のニュースで話題となり、
結果的にロサンゼルスで公演を行うことにつながったという例もあります。
一部推論もありますが、
これらは全て違法からスタートして正規コンテンツに還っていった例です。

ただし、このバランスは非常に難しく、
頭を抱えている業界の方々も多いことでしょう。


■音楽の違法コピー利用を防ぐには
違法ダウンロードを防ぐ方法として、
もっとやるべきことが沢山あると、個人的にも感じています。
なので、まず自分が思いつく範囲の「やるべきこと」をちょっと挙げてみます

【やるべきこと1. 正規コンテンツを広く認知させる】
違法コンテンツの拡大を防ぐもっとも簡単な方法は、
正規コンテンツを違法コンテンツよりも手軽に入手できるようにすることです。
正規コンテンツがあるにも関わらず、違法コンテンツが拡大してしまったりする現状で、
正規コンテンツをよりユーザーに近い場所に、わかりやすく提示することも
コンテンツ管理者としてすべきことではないかと思います。

【やるべきこと2. 違法コンテンツを合法化させる仕組みの確立】
違法コンテンツを識別し、広告を表示させる仕組みはYouTubeに導入されています。
その広告収入は、権利者などに還元されます。
また、広告はスポンサー広告のほか、正規コンテンツの広告を含むので、
違法コンテンツであるという警告と同時に、
それ自体が広告になるという機能を果たします。
このシステムをより推し進めることで、
違法コンテンツを逆に利用するという方法は不可能ではないと考えています。

【やるべきこと3. 音楽ソフトの再販制度】
CDを購入すること、コンテンツを購入することに対して、
どうも自分は金額が高いと感じています。
特に、何年も前のCDと、新作のCDが、新品では同じ値段で販売されているという不自然さ。
出版物も同じですね。
その原因は以下の項目を参照。

Wikipedia – 再販売価格維持

音楽コンテンツ全体の売上が下がっているのに対し、
著作権使用料はそれほどまでに落ち込んでいない現状。
そして、デジタルへとコンテンツが移りゆく中でも、
CDはまだまだ音楽コンテンツの主力であることは変わりません。

ならば、CDをより買いやすくする工夫、
更に進んで、CDと現行の再生機器との相性をより良いものにすることは
必ずプラスにつながっていくと思います。

ちなみにゲームソフトではベストプライス化など廉価版の存在が広く認知されています。
また、認知度はまだまだですが「専用機」ならではのダウンロード販売の仕組みも単純です。
ゲーム販売から見習う点も数多いと思います。




「ダウンロード」の定義が曖昧であることはもちろん、
法案がもし現実のものとなるならば、今後さまざまな不備が見つかっていくと思います。

違法ダウンロード行為はもちろん、自分が作り手側であるが故に残念なことではあります。
ただ、それをさせてしまうような不親切な環境にも多々問題があるにも関わらず、
すべてをユーザーのせいにしてしまうような結論を急ぐことに大きな疑問を持っています。

まず、正規コンテンツにたどり着きやすい仕組みを
業界一丸となって提案してください。
正規コンテンツをもっと身近な存在にしてください。

法を変えるのは、きっと、そのあとでも遅くはないはずです。


GROW feat. 初音ミク REBOOT feat. 初音ミク World Breakout feat. 巡音ルカ NEXT (Ver.i) feat. 初音ミク

Activity

エンタメ創作集団S-TRIBE だいぶVR(PANORA) そそれぽ(iNSIDE) KarenT

Twitter

SOSOSO×VOCALOID

Nintendo Switch PlayStation 4 HTC VIVE

新着記事

報告など
スーパーマリオオデッセイの曲のフルがもう売ってる。
#予言者育成 学園1周年、きっと藤澤Pの長年の挑戦がひとつ結実した日
そそねこによる「そそそオゥフオゥフ」レポート
【#ラブコメのススメ】第1回:「YAWARA!」最大の敵は柔道のライバルではなく恋愛感情。
変なスマホゲー『予言者育成学園』をもっと広めたいおじさん
「ノーゲームデー」にノー
ファミコン世代が日本の害悪とは限らない
だから『無双』が売れる世の中
インタネ社の配信でピアプロの絵を使おうとした人がいた話

  • Amazon Game Top10

    Powered by amaprop.net
  • メタ情報